円形脱毛症の特長
円形脱毛症は、毛根が免疫(リンパ球)の誤った攻撃を受けて髪が抜ける疾患です。ストレスや体質、遺伝などが関わると考えられていますが、単発の軽症型から全頭・全身の重症型まで幅広いタイプがあり、経過や治療法もさまざまです。
主なタイプ
- 単発型:最も多いタイプ。1ヶ所だけに限局して起きる。
- 多発型:2ヶ所以上に脱毛が出現し、広がる場合も。
- 全頭型:頭髪全体が抜けてしまうタイプ。
- 汎発型:まつ毛・眉毛・体毛まで脱毛する重症タイプ。
円形脱毛症の原因
- 自己免疫異常によるリンパ球の攻撃
- ストレスや過労による全身バランスの乱れ
- アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患などの合併
- 遺伝的な素因
自然経過
単発や軽症の場合は数ヶ月で改善するケースも多いですが、多発・重症では長期化や再発・慢性化しやすい特徴があります。
当院で行う円形脱毛症の検査・治療
1. 診察・問診
発症時期、経過、家族歴や生活環境などを丁寧に伺い、他の脱毛症との鑑別や必要に応じて血液検査も行います。
2. 薬物療法
- ステロイド外用薬:炎症を抑えて毛根の攻撃をブロック。最も標準的な治療です。
- 塩化カルプロニウムやミノキシジル外用:頭皮の血行を改善し、育毛を促進します。
- 抗アレルギー剤・セファランチンなどの内服:体質面や長引く場合に併用することがあります。
3. 局所治療・特殊治療
- 局所ステロイド注射:範囲が限られるケースで有効な場合があります。(痛みや凹みリスクあり。慎重に実施)
- 紫外線照射療法(エキシマライトなど):免疫反応を調整し、重症例でも保険適用で行えます。
▶︎エキシマライトについてはこちら - 液体窒素療法:患部を刺激して毛包の働きを活性化することを目的に行う場合もあります。
- 新しい内服薬(JAK阻害薬):最新の治療薬も保険適用となり、一部の重症例で処方が可能な場合があります。
4. 日常生活へのアドバイス
- ストレスや緊張をためすぎないよう生活リズムを整える
- 栄養バランスのとれた食事と適度な運動を心がける
- 正しい頭皮ケア・清潔と保湿
- 市販の刺激が強い育毛剤や過度な自己処置は控える
受診の目安
- 急な脱毛症状が生じた・拡大している
- 複数ヶ所、または眉やまつ毛まで脱毛が見られる
- ご自身・ご家族にアトピーなど免疫体質がある
- 治療を続けても再発や広がる場合
円形脱毛症は再発を繰り返すこともあります。適切な治療継続や経過観察がとても大切です。お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。