「皮膚がカサカサして、白い粉のようなものがボロボロ落ちる」「治ったと思ったら、また同じ場所に赤い斑点が出てくる」
このような症状が長期間続いている場合、乾癬(かんせん)という慢性の皮膚疾患の可能性があります。
乾癬は感染症と誤解されやすい疾患ですが、実際は体質や免疫の異常が関わる炎症性疾患であり、正しい知識と継続的な治療が欠かせません。

乾癬とは
乾癬とは、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が異常に速くなることで、赤みのある盛り上がった発疹(紅斑)の上に、銀白色のかさぶたのような鱗屑(りんせつ)が厚く付着する慢性の炎症性皮膚疾患です。
頭皮、ひじ、ひざ、腰など、刺激を受けやすい部位に好発する傾向があります。
乾癬は病型によっていくつかに分類され、全体の約9割を占める「尋常性乾癬」のほか、小さな発疹が全身に多発する「滴状乾癬」、膿疱を伴う「膿疱性乾癬」、関節に炎症が及ぶ「乾癬性関節炎(関節症性乾癬)」などがあります。
日本皮膚科学会が公表している「乾癬性関節炎診療ガイドライン2019」によれば、乾癬患者さんのうち14〜15%が乾癬性関節炎を合併するとされており、皮膚症状だけでなく関節の痛みやこわばりにも注意が必要な疾患です。
国内の乾癬患者数は約43万〜56万人(人口の約0.3〜0.4%)と推計されており、欧米と比較すると少ないものの、生活習慣の変化に伴い国内でも増加傾向にあるといわれています。
乾癬を放置した場合のリスクとして、皮膚症状が慢性化・拡大するだけでなく、前述の乾癬性関節炎へ進行し、関節の変形や機能障害につながる可能性がある点が挙げられます。
また、乾癬は単なる皮膚の病気にとどまらず、糖尿病や高血圧、脂質異常症、心血管疾患といった全身性の病気との関連も指摘されており、「見た目の問題だから」と自己判断で治療を後回しにすることは、全身の健康管理の観点からも推奨できません。
乾癬は感染症ではなく人にうつることはないため、正しい理解のもとで根気強く治療に取り組むことが大切です。

乾癬の原因
乾癬の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な体質、免疫の異常、環境要因の3つが複雑に絡み合って発症すると考えられています。
遺伝的な体質
海外の報告では、両親のどちらかが乾癬の場合、子供が乾癬になる可能性は16%、両親ともに乾癬の場合は50%にまで上昇するとされています。
ただし、これは「なりやすい体質を受け継ぐ」ということであり、必ず発症するわけではありません。
免疫の異常
乾癬患者さんの皮膚では、免疫細胞から炎症を引き起こすサイトカインというたんぱく質が過剰に放出され、皮膚のターンオーバーが通常よりはるかに速く進んでしまいます。
この免疫異常が、鱗屑を伴う特徴的な発疹の直接的な原因となります。
環境要因(感染症・ストレス・生活習慣)
扁桃炎などの感染症、精神的ストレス、肥満、喫煙、過度な飲酒、皮膚への物理的な刺激、一部の薬剤などが、乾癬の発症や悪化のきっかけになることが知られています。
これらの環境要因は、遺伝的に乾癬になりやすい体質を持つ方において、発症の引き金として働くと考えられています。
乾癬の治療
乾癬の治療は、皮膚症状を抑えながら長期的に良好な状態を維持していく、段階的なアプローチが基本です。
外用療法(ステロイド外用薬・活性型ビタミンD3外用薬)
乾癬治療の基本となるのが、炎症を抑えるステロイド外用薬と、皮膚のターンオーバーを整える活性型ビタミンD3外用薬です。
両者を併用、または配合剤を使用することで、多くの患者さんで症状のコントロールが可能です。
紫外線療法(エキシマライト)
外用治療だけでは改善が乏しい場合や、広範囲に症状がある場合には、当院では保険診療による紫外線療法をご提供しています。
特定の波長の紫外線を患部に照射することで、過剰な免疫反応を抑え、皮膚のターンオーバーを正常化に近づける治療法です。通院しながら計画的に照射を重ねることで、症状の改善を図ります。

内服療法(オテズラ・ネオーラル・チガソン)
外用療法や紫外線療法で十分な効果が得られない場合や、症状が広範囲に及ぶ場合には、飲み薬による内服療法を検討します。当院では、患者さんの症状や生活スタイル、持病などを考慮し、以下の内服薬から適したものを選択します。
オテズラ(一般名:アプレミラスト)
炎症を引き起こす物質の産生に関わる酵素(PDE4)の働きを抑えることで、皮膚の炎症や赤み、かゆみを和らげる内服薬です。免疫を強く抑え込むタイプの薬ではないため比較的使いやすく、飲み始めに下痢や吐き気、頭痛などがみられることがありますが、多くは服用を続けるうちに落ち着いていきます。
ネオーラル(一般名:シクロスポリン)
過剰に働いている免疫細胞の活動を抑える免疫抑制薬で、比較的早い段階で効果が現れやすいことが特徴です。一方で、腎機能や血圧に影響を及ぼすことがあるため、服用中は定期的な血圧測定や血液検査を行いながら、慎重に経過を確認します。
チガソン(一般名:エトレチナート)
ビタミンAの誘導体で、異常に速くなった皮膚のターンオーバーを正常に近づける働きがあり、膿疱性乾癬などにも用いられます。胎児に影響を及ぼすおそれがあるため、服用中および服用終了後の一定期間(女性は2年間、男性は6か月間)は避妊が必要です。また、唇や皮膚の乾燥などの副作用がみられることがあります。
いずれの内服薬も、効果と副作用のバランスを見極めながら使用することが大切です。服用前には問診や必要な検査を行い、医師が適応を判断したうえで処方いたします。
治療後の経過については、外用薬や紫外線療法、内服療法によって症状が落ち着いた後も、乾癬は再燃しやすい性質を持つため、自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って経過を見ながら治療を継続することが重要です。
よくある質問
Q. 乾癬は人にうつりますか?
A. 乾癬は感染症ではなく、体質や免疫の異常が関わる炎症性疾患のため、人にうつることはありません。安心して周囲の方との生活を続けていただけます。
Q. どのくらいの期間で治りますか?
A. 乾癬は「完治」というよりも、治療によって症状をコントロールしながら付き合っていく慢性疾患です。個人差はありますが、適切な治療を継続することで、症状が落ち着いた状態を長期間維持することが可能です。
Q. 何科を受診すればよいですか?
A. 乾癬は皮膚科での診断・治療が基本です。関節の痛みやこわばりを伴う場合は、整形外科やリウマチ科と連携して診療を行うこともあります。
台東区浅草で乾癬にお悩みの方へ
長引く皮膚症状を「体質だから仕方ない」と諦めず、まずはご相談ください。
つちやファミリークリニック浅草院では、台東区浅草にお住まい・お勤めの皆さまに向けて、乾癬の原因を丁寧に見極めたうえで、皮膚科専門医が保険診療による外用療法・紫外線療法・内服療法を含めた段階的な治療をご提供しています。
皮膚のカサつきや繰り返す赤い発疹が気になる方は、お気軽に浅草院までご相談ください。